審美歯科の領域は、ここ10年で飛躍的に進化しました。マテリアル(歯科材料)の進化もありますが、以前は歯科医師の感性に頼っていた部分が、学問として確立してきました。そのため、患者さんでは漠然と”綺麗でない” ”どこかおかしい”としか認識できないものを、審美分析を行い、問題点を抽出、それに対する解決策を検討し改善していくことが可能になりました。
当院においても、口腔内写真、セファロ分析、模型分析、診断用ワックスアップ、など、様々な分析を行い、患者さんと相談しながら、顔面と調和した補綴修復物を作成しております。
近年、歯科界では”MI”というワードがクローズアップされています。
MI(ミニマルインターべーション)とは、できるだけ治療における侵襲を少なくして(歯を削らない、抜かない)、最大限の治療効果を出そうという考え方です。
以前は、歯の形態が悪く、審美的に問題がある場合、全体的に歯を削って被せていました。(差し歯など)
セラミック(ラミネートベニアの材料)と、エナメル質(歯の表面の硬い組織)とを強力につける接着剤が開発され、コンタクトレンズのように薄いセラミックと歯を接着しても、あたかも自分の歯であるかのように一体化させることができるようになりました。 これが”ラミネートベニア”と呼ばれる、修復方法です。
ラミネートベニアの特徴として以下のことがあげられます。
1,歯を削る量が、従来のものに比べると、極端に少ない
差し歯(クラウン)であれば、歯を全体的に1㎜から2㎜程度削らなければなりませんが、この修復方法なら、歯の外側部分(唇側、唇の方、片面だけ)0,7㎜から1,0㎜程度削るだけです。 歯の表面のエナメル質を、極力残すようにします。
2,修復物の変色が少なく、また自然感が強い
材質がセラミックなので、治療後の修復物の色の変化がほとんどありません。
また、天然の歯と同じぐらいの、光透過性の材質を用いるので、元々の自分の歯となじんで、天然の歯と見分けが付きません。
3,大幅な歯の形態の変更が可能です。
歯のサイズを大きくしたり、形を整えたりして、左右シンメトリーな形態を与えられます。
セラミックは古くから、差し歯、被せものの材料として使われてきました。耐摩耗性に優れ(すり減らない)また変色もありませんが、反面衝撃に弱くかけたり割れたりしやすい欠点はあります。
そのため差し歯、被せものとして使う場合、内側にコーピングを作り(曲げ強度の強いもの)その上にセラミックを焼き付けて、強度を上げてきました。
従来はこのコーピングに金属を用いていましたが、光を透過しないため、本来の歯の色を出すには、難しい状態でした。
しかし最近、このコーピングを金属の代わりに、ジルコニアを用いる技術が進歩してきました。ジルコニアは、
1,ある程度の光透過性があること
2,元々、材質の色が歯冠色と似ていること
3,アレルギー反応を起こさないので、金属アレルギーの方にも使用可能。
などの特徴から、透明感のある、本来の歯牙に非常に近い、体に優しい安全なものが作れるようになりました。
また、従来の金属のものは、光を透過しないため、歯と歯ぐきの境目に影ができて、歯ぐきの色が暗く見えましたが、ジルコニアのコーピングではこの影も解消されました。
ホワイトニングとは、歯の中の色素を分解して、歯の明度を上げて、歯を白くする方法です。
一般的な、歯磨材(歯磨き粉)や歯のクリーニングでは、歯の表面に付いている汚れや着色(ステイン)を取るだけで、歯そのものは白くなりません。
ホワイトニングでは、ホワイトニング材と、光の力を利用して、歯の内側から歯を白くします。
ホワイトニングには”オフィスホワイトニング”と”ホームホワイトニング”があります。
主に、歯科医院で行うホワイトニングで、1時間程度かかります。
ホワイトニング材を歯に塗布した状態で、光を照射して、歯を内側から白くします。
それぞれの患者さんに合った、専用のホワイトニング用の口腔内トレー(マウスピースのようなもの)を作成し、そのトレーの中にホワイトニング材を少量入れ、口の中に装着します。この状態で、夜、就寝していただきます。
一般的には1ヶ月間継続して使用していただき、効果を判定します。
当院では、オフィスホワイトニングの補助として処置しています。